やあ ぼくは くまたいよう(・ω・)
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 人の話を全く聞かず、やりたい放題。母親の手を煩わせ、二人の姉を振り回し、さすがの私(カメラマン)とアシスタントも疲れ果てていた。当の本人はマイペースにハートキャッチを歌い出したりと、別段ご機嫌が悪いわけでもなく、ナチュラルに笑っている。しかし、いざ撮影のために立ち位置に誘導しようとすると、途端、彼女の愛らしい顔からスッと表情が消えてしまう。そして、とても2才とは思えぬ冷酷な顔で、フンッとそっぽを向いてしまうのだ。三姉妹の末っ子だからなのだろうか、普段からだいぶ甘やかされているようで、母親のことは完全に舐めきっている。必死に励ますお姉ちゃん達の声も届かず、父親には暴言を吐き、それでも叱られない彼女を眺めながら、私は撮影することを半ば諦めていた。こんなにテンションが上がっている2才児を落ち着かせ、ただでさえ束縛を嫌う彼女から自由を奪った上で、カメラ越しの私に微笑んでくれるなどとは、とても考えがたかった。いくら2才児に目がない私でも、我が儘な子どもへの耐久性は、実のところそれほど強くないのだ。1枚もシャッターが切れないまま、時間だけが過ぎていった。ところが、その無 情の時の中で、彼女に変化が訪れた。それはあまりにも突然で、私は、度肝を抜かれることになる。それまで娘に優しかった母親が、ほんの少し厳しい態度をとった時のことだった。とは言え、端から見れば全く厳しくなく、むしろもっと叱るべきだとも思ったが、この母親にしてみれば頑張った方だ。聞く耳を持たない娘を相手に、説得を始めたのだ。私はそれを隣で見ていた。2才児はというと、初めは相変わらず我が儘を言い続けていたものの、母親の本気が伝わったのか、それまで味方だった人物が敵に回ったことを理解したようで、ふと動きを止めた。頭の良い子なのだろう。周囲の大人が気づくより早く、彼女のスイッチは切り替わっていた。そのまま母親に背を向け、つい今しがたまで敵であった私の元へ歩み寄ってくる。ぴこぴこ、と可愛らしい足音が聞こえたような気がした。が、萌える隙も与えないまま、その2才児は私を見上げて言い放ったのだ。 ――おねーしゃん。 見事なカウンターだった。絶妙な声と抑揚。そもそも2才という最大のスペックを有しているにも関わらず、彼女の力はインフィニティだった。その攻撃力が2000だとしたら、私が受けたダメージは30000。私が二次元の人だったなら、間違いなく「ぐはあっ!!!」というアフレコをされていただろう。さらに彼女は繰り返した。 ――おねーしゃん。 私は神に感謝した。この世に幼女が創造されたことを祝福した。今世紀最大の奇跡であり、最高傑作に違いない。私は感動と動揺により、「えっ、何!?何何何何何!?!?!?」と、彼女の手を握ることしか出来なかった。そんな甲斐性無しの私を嘲笑うかのように、彼女はさらに攻め入ってきた。最初の一時間はずっと一人称が『あたし』か『○○ちゃん(自分で自分の名前呼び)』だったはずなのに、途中から何故か僕ッ子に変わったのだ……「ぼくもー!」という台詞を聞いた瞬間、思わず「何で!?何で急に僕ッ子になったの!?」と口に出してしまったくらい、衝撃的だった。やはり彼女はインフィニティ。男兄弟がいるわけでもないのに、その後も最後まで彼女の一人称は『僕』のままだった。 結局、撮影はほとんど出来なかった(彼女の独壇場だった)が、あの2才児の大物っぷりは大変愉快であり、私は楽しかった。しかし早く幼稚園に入れて社会性を身につけた方が、彼女のためになるだろう。これはマジだ。 ということで、夏の思い出でした。言わずもがな、後半書くのに疲れたでやんす! 8月も終わるねー>< PR この記事にコメントする
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